最近、知人Aに相談をされました。
夜7時からSkypesで3時間ほど…。
どういった質問かというと、
「不動産業者さんに物件を紹介されてるんだ。
銀行も全部紹介してくれるっていうし、
悪くない物件かなーと思ってるんだけど、どう思う?」
といったもの。
そうだよねー、やっぱりみんな不動産投資気になるよねー、と思いながら、
現在の資産背景を知らなかったので、まずはそこからと思い確認してみました。
自分「ところで、もう物件は持ってるの?」
A「持ってるよ。資料送るね」
おお!もう持ってるんだ!行動力あるなー、と思い、送られてきた資料を見て、
愕・然…!
鉄骨造、築31年、地方都市駅10分、利回り10%。
自分「…。これ、銀行はどこで融資してもらった?」
A「S銀行だよ。融資期間は30年。業者さんが全部やってくれた」
自分「そうなんだ…。30年…!で、今回の物件の資料はこれ?」
A」「そうそう。前と同じ感じなんだけどね。駅から近いから、まあいいかと思って」
資料を見て、愕・然…!
鉄骨造、築29年、地方都市駅8分、利回り9.5%
うーん、これは言わねばならぬ。
このまま行ったらヤバイでしょう。
その知人は、去年も奥さんと可愛い息子さんが写っている幸せな年賀状を送ってきてくれてた。
その年賀状が近いうちに途絶えてしまうかもしれない。
このままだと、幸せな家庭にヒビが入ってしまうかもしれない。
本人のプライドは傷つくかもだけど、しょうがない。
自分「Aくん、その物件はやめておいた方がいいかも。
そんでもって最初の物件も早々に売却しよう」
A「え!なんで?
ようやく1棟目は一括借り上げ終了後の空室も埋まって、
なんとかいけそうかなって感じてたのに」
まじか、購入時は一括借り上げだったのか…。
自分「今、キャッシュフローはどのぐらいあるの?」
A「キャッシュフローってなんだっけ?ああ、手残りのことだっけ?
でも月々7万円ぐらいかな。」
うーん、怖い!数室抜けたら持ち出しかもよ?
その後、私の説明を聞いて納得してくれたようで、
売却の方向に意思を傾けてくれたみたいです。(売却できるか分からないけど…)
色々聞いていたら、以前他の方にも聞いたことがあるみたいだけど、
その人にも「すぐ売却しよう」と言われたみたい。
皆様はなぜ、上記物件がヤバイ物件なのか分かりますでしょうか?
恐らく、知人A、彼はすでに信用毀損の状態です!ビシッ!
どういうことか説明しましょう。
物件の法定耐用年数というのはご存知だと思います。
RC物件であれば、47年だし、重量鉄骨であれば34年ですね。
まあ実際、47年過ぎても物件自体は住めますよ。RCなんかはしっかりしてます。
ただ、基本的には耐用年数ギリギリもしくは過ぎているものは、
ほぼ建物の評価はされません。金融機関からすると、そんな建物は無価値なのです。
上記の物件はどうでしょう?
重量鉄骨で築30年近ければ、ほぼ価値がないのです。
しかし、それでも余りある魅力がその物件にあれば話は別です。
例えば利回り30%とか。
でもそうじゃないですよね?
利回り10%とかそこらへんにゴロゴロあります。
不動産業者さんの「今時、この立地で利回り10%の物件なんて、ありませんよ!」
なんて言葉に騙されないでください。
価値がない物件に対して、融資30年っていうのは、皆さんには異常だと感じて欲しいんです。
大体の銀行は、融資年数というのは、耐用年数−築年数です。(もちろん別のパターンもあります)
上記物件であれば普通4年とか5年なわけですよ。
だから融資額を4,5年で返せるぐらいの収益性があれば、それは問題ないですが、
全然ない利回りの物件に対して、融資30年っていう選択をすると、
金融機関から見れば、「全然価値がない物件に対してこんなにローンがあるのか」という風に写ります。
融資額と資産価値の差があること、これが信用毀損です。
さて、融資期間が30年ということは、それだけ毎年の銀行への返済は抑えられるので、
キャッシュフローは増えます。
ただ、これから30年間、RCならまだしも、
築40年,50年の鉄骨造の家を、好んで選ぶ人がどのぐらいいるでしょうか?
確実に空室率が増加します。
ってことは、キャッシュフローは絶対減る、もしくはマイナスになるのです。
じゃあ、どうするか。物件を買い増そう。
ただ上記にもあるように、すでに信用毀損の状態。
よっぽどの資産があったり、属性がないと、銀行は融資してくれないでしょう。
じゃあ次、物件売却を検討します。
でもこんな物件(失礼!)、どこの金融機関が融資出します?
もし購入したいという人が出たとしても、融資してくれる銀行は普通は見つからないのです。
(S銀行なら別ですね)
こういう状態になると、本当に焦ります。
売却もできない、物件を買うこともできない、
毎月空室分を手出ししなければいけない、
残った道はネットビジネスか!FXか!みたいな。
なんとか打開するために、金利交渉をしてみたり、他行に借り換えをしてみたり
検討はできるかもしれません。でも不確定要素強すぎですね。
どうでしょうか?
築30年の鉄骨に融資30年をつけるのがどんなに危険なことなのか。
そしてこんな物件に融資30年をつけるのはS銀行ぐらいしかないことを。
もちろん良いパフォーマンスの物件であれば、S銀行はすごいパワーを発揮します。
そのうちまた話させていただきます。
もしご自身がそう言った物件を持っている、もしくは購入予定だ、という人は
ちょっと待ってください。
一度振り返って、本当に買っていいのか、保有していていいのか、
シミュレーションし直すことをお勧めします。
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